Tシャツのシングルステッチの理解を深めよう

暑い!暑すぎる!去年より太陽近づいてませんかね?気のせいでしょうか?このうだる暑さを乗り切るためにTシャツは欠かせない相棒になりましたね。

さて、近年Tシャツがフューチャーされるようになって一般的に周知されるようになった「シングルステッチ」という言葉。アパレル業界において縫い目の名称がブームのように周知される事はかつてあったでしょうか?

しかしこのシングルステッチという縫い方はかなり特殊な縫い方で、具体的な縫い方まで理解してる方はほぼ皆無かと思います。

今回、当店がシングルステッチの裾上げに対応できるようになったので説明させていただきたいと思います。大切な夏の相棒を丈詰めに出す前にしっかりステディして下さい。

まず縫い方から説明していきたいと思います。ハギレと家庭用ロックミシンを使って説明します。

今回は3センチの折幅で縫ってみようと思うので、3センチの線を引きます。

アイロンで裏側に折っていきます。

キレイに折れました。

そしたら今度は折ったところを表側に折り返します。

折り返したところにロックミシンをかけます。

こんな感じですね。

そしてロックミシンをかけたところを開くと…

完成です。これがシングルステッチです。要するに、切り端にロックをかけつつ、縫いとめるという強引な縫い方です。

………え?なんか違うって? 

おっしゃる通りです。ロックミシンが縫い込みすぎてて表に出てる糸が長すぎますね。

という事でもっと縫う幅を狭くしてみました。そうすると…

表の糸が短くなって大分マシになりましたね。でもまだなんか違いますね。

もっとギリギリ端っこを縫わないとダメですね。

あと縫い目を解いてみると、生地に穴が空いてますね……

ロックミシンには刃がついていて切りながら縫うので、巻き込んで切っちゃってるんですね……

つまりシングルステッチとは、

折り端の隅っこギリギリを、生地を切らないように縫っていかなければならない縫製。

という事です。

しかも今は伸びなくて縫いやすいスレキですが、これを縦横無尽に伸びるカットソーでやらなければならないのです。

実際にカットソーでやってみると、

全集中して縫ってもこれだけよれてしまいます。

シングルステッチは難しい!というのを皆さんも聞いた事ないでしょうか?これが難しいといわれるゆえんです。

縦横無尽によれるカットソーの折り端ギリギリを少しもよれる事なく縫う縫製

いや……… こんなん絶対無理やろ。

ー完ー








と、思って私自身、はなからさじを投げておりました。「いつか暇になったらやろ」くらいにしか思ってませんでした。

しかし3年前、ひょんなところから良い工業用ミシンが入手出来る機会があって、ダメ元で買ってみたんです。将来攻略するにしても感じだけでも掴んでこうと思いまして。でも縫ってるうちに「あれ、これいけるんじゃないか」と思って研究、ミシンの調整を重ねた結果、商品化できるところまでもってくる事が出来ました。

改めて、シングルステッチ縫製における問題点を整理すると、

・縫製時のよれ

・折山をギリギリで縫い続ける

・刃で切ってしまう可能性

大きくこの3点です。この3点が、

・縫製時のよれ→上送りのサポート

・折山をギリギリで縫い続ける→生地折りガイドの微調整・習練

・刃で切ってしまう可能性→刃無しに改造

によって安全、安定の縫製が出来るようになりました。お直しは失敗が効かないので刃を使うのは避けたいところですが、ロックミシン自体刃を使う前提の設計になってしまってるので工夫が必要でした。

そしてお待たせしました。実際にお客様のTシャツの裾を縫ってみた画像です。こちらはかなり大事にされてるとの事で…… カッコいいTシャツですね。

こちらが縫った裾です。

ちょっと色がとんじゃったんですが袖との比較です。

何度もしつこいですが、最大のポイントは刃を使わないところです。布地を誤って切る事が絶対にありません。縫う方も、依頼する方も安心です。

以上がシングルステッチの説明になります。この後に依頼される時の注意点という記事を投稿予定ですが少し日が空いてしまうかもしれません。

肝心の金額ですが、脇に縫い目がなければ4000円(税抜き)、脇縫い目ありは5000円(税抜き)になります。脇縫い目ありは難しいのでミシンの調整が必要です。これもいずれ説明させていただきます。

是非夏の相棒のサイズをバッチリ合わせて、楽しくかっこよく夏をお過ごしください。

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